友達としても居られない




告白された。
けれど……本当は友達で居たかった。


飲み会でTさんと仲良くなって以来、
自分はTさんと話がしたくて仕様が無かった。
とにかく何でも良いから、
突っ込みでも良いから、
話し掛けたかった。

社外で行われていた新人研修。
休み時間になる度に自分はTさんのそばに寄り、
話をし続けた。
たくさんの話をした。

こんな自分が特定の女性のそばにへばりついている光景を見て
まわりは不快に思うのではないかと心配だった。
20歳にして初めて彼女が出来たような自分。
それに対し、Tさんは見るからに男性にもてる容姿をしていた。
自分以外の男もきっとTさんを見ているに違いないと思っていた。
けれど、それでも自分はTさんと話がしたかった。

Tさんは自分の話をなんでも聞いてくれた。
聞き流すだけでなくて、受け答えをしてくれて、
話した内容をきちんと覚えていてくれた。
一般的でない趣味や思考を持つ自分の話を
ここまで聞いてくれる人なんて、
家族を含めて今まで出会ったことが無かった。
友達も少ないし、意見の合う人もあまりいなく
話しができる相手はいなかったから、
とても嬉しかった。
本当に心から嬉しかった。
こんなに嬉しいことは初めてで幸せを感じていた。

飲み会から1週間後、
帰りに今週分のみんなの日報を出しに
Tさんが本社に行くと言うので、
自社へ向かう電車への乗換駅で自分も降りて
着いて行ってしまった。

2人で自社に日報を出した後、
マクドナルドに入った。
研修場所とは違い2人きりなので、
色々な話をした。

「自分はもてない。」とか
「男子ばかりに囲まれていたから出会いが無かった。」なんて
話した後に、月に1度ぐらいしか会っていないけれど
一応自分には“彼女がいること”を言うと
Tさんは怒ってしまい、
『彼女が居るなら友達としても居られない』と言われてしまった。
2人で話をするのも嫌だと言われてしまった。

自分にはわからなかった。
あんなに自分の話を快く聞いてくれていたTさんが、
なぜ自分に彼女が居るだけでそこまで拒絶するのか。
友達として接していたのに自分の何が悪いのか、
Tさんの機嫌を直してもらうにはどうすれば良いのか、
Tさんはどう言うつもりで話を聞いていてくれたのか、
自分の考えに同意できるから話を聞いてくれていたわけは無いのか、
とにかく色々なことがわからず、
突然のことに困惑して焦ってしまった。

真面目なTさんのことだから、
2人の女性と仲良くするだけでも
とても許せないことなのだと、自分は思って、
「彼女とは友達のような関係であること」を何度も伝えた。

怒っていたと思われるTさんだが、
自分が困惑している姿を見て、
突然自分の腕をつかんできて
「大丈夫だよ」なんて言って来た。
けれど、自分には“何が原因でTさんの気を悪くさせてしまったのか”
わからなかったため
大丈夫と言われても何が大丈夫なんだかわからなかった。

そんな状態がしばらく続くと、
Tさんに「付き合おう」と言われた。

もう何がなんだか、自分にはわからなかった。




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