決断を誤った人生の始まり
色々な疑問点を抱えながらも
自分はTさんを信じることにした。
そして、付き合うことにした。
突然の告白、
もてないと思っていた自分が
女性から告白されるなんて有り得ないこと。
けれど今ここに現実に起きた。
しかもその相手は、雲の上の人に見えたTさん。
Tさんは真面目に見え、頭もよさそう。
しかも異性としては自分のタイプだった。
いや、タイプどころか、理想そのものだった。
そんな女性と付き合うなんて、人生で有り得るわけがない。
人生でこんなに良いことがあるなんて信じられない。
きっと何か裏があると思った。
何より話を聞いてくれている関係を崩したくはなかったから、
Tさんとはずっと友達として居たかった。
「友達として居たい」と自分が言うと、
Tさんは「付き合ってくれないと友達としても居られない」と言った。
全然意味がわからなかった。
けれど、嬉しさやTさんの押しにかかって、
勢いでOKしてしまうことは避けるべきだと思い、
冷静になることにした。
そして、言いたいこととと聞きたいことを聞くことにした。
自分は「付き合う=結婚、そして将来もずっと共に過ごすことまで考える」、
恋愛に対して重い考えの人間であること。
遊びの恋愛はしたくないこと。
そのようなことを伝えた。
Tさんは同意してくれた。
逆にTさんからは今まで付き合った人数を聞いた。
転職を繰り返す人はすぐに飽きてしまい勝ちであると同様に、
何人もの人と付き合う人は、
自分に飽きてすぐに捨てられてしまうと思ったから。
自分は重い考えを持っているだけに、
すぐに別れるなんて許されることではなかった。
その質問に対してTさんの答えは「3人」であった。
真面目で箱入りだと信じていた自分にはショックだった。
付き合えば自分は4人目。
もてないような自分だし、軽く扱われているのではないかと心配になった。
自分にはもう一つ、一般の男と違う思考があった。
世の男は女性とすぐに肉体関係を持ちたがるようだけれど、
自分にももちろん性欲はあるけれど
「結婚が考えられる相手でないと肉体関係は持ちたくない」
と言うこと。
なので「肉体関係は無しにしたい」と言った。
しかしTさんには「いやだ!」と反応されてしまった。
本当は自分は、相手と付き合うとは最低でも3ヶ月は
友達として接する期間が必要だと感じていた。
時を重ねないとわからないことも多くあるからだ。
なにしろ自分は付き合うことに重い考えを持っている。
結婚が前提なのに、
「付き合ってからわかることがある」では遅いと感じていた。
だが今は入社して11日目。
飲み会で仲良くなって1週間だ。
悩みに悩んだ。
自分が告白されるなんて人生でもう二度と有り得ない。
しかも相手がタイプの女性。
このチャンスを逃して良いのか?
けれどTさんは過去に3人と付き合っている。
もしかしたら1人とぐらいなら肉体関係を持ってるかもしれない。
肉体関係無しは「嫌だ」と言うし、
こんな自分に告白するぐらいだから軽いヤツなのかもしれない。
自分が考える最低の人間かもしれない。
頭が良いから猫をかぶっているのかもしれない。
色々なことが浮かんだ。
その時付き合っている「彼女」は
振り向いてくれはしないもの、
裏切ったりはしない人間だった。
自分にとっては、最初の彼女であったこともあって
心配しすぎるぐらい色々なことで心配したが、
その心配事のすべて、100%は自分の考えすぎで終わっていた。
Tさんは真面目に見える。
今まで色々な話を聞いてくれて、
自分がどのような考えを持っている人間かはわかっているはずだ。
自分のことを裏切ったりはしないだろう。
「彼女」のように心配しすぎで終わるさ。
3人と付き合ったって、肉体関係はきっとないさ。
だって真面目に見えるし、
自分自身でも「私も遊びは嫌だ」と言っていたし、
疑うばかりでなく信じないとダメだよ。
そう自分の心に言い聞かせて付き合うことにした。
その夜、「彼女」に電話をした。
「入社してから仲良くなった人がいるって言った(メールで書いた)じゃない。」
「実は女性なんだけど……、その女性に告白された。」
「前に『友達としてしか居られない』って言ったよね?」
「だから別れても良い?」
その自分の言葉に驚き戸惑うことなく、
逆に「彼女」は「良かったね」と喜んでくれて、
引きとめもされずに、別れることになった。
自分と同じように重い考えを持ち、
行動・言動・思考で納得できる人だったのに、
別れる決断をしてしまった。
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